ふるさと納税と確定申告
ふるさと納税は、実質2,000円の負担で各地の返礼品を受け取れる制度です。使わない手はありません。
ただし、個人事業主には会社員と違う重要な注意点があります。「ワンストップ特例が使えない」という点です。
この記事では、個人事業主のふるさと納税を、仕組み・ワンストップが使えない理由・確定申告のやり方の順に整理します。
01ふるさと納税の仕組み
まず、制度の中身を押さえます。
ふるさと納税は、自分で選んだ自治体に寄附をする制度です。寄附した金額のうち2,000円を超える部分が、所得税と住民税から控除されます。
つまり、上限内であれば、実質2,000円の負担で返礼品を受け取れます。自己負担の2,000円は寄附1回ごとではなく、1年間(1月〜12月)の寄附総額に対して1回だけです。
02個人事業主はワンストップ特例が使えない
ここが最重要ポイントです。
ワンストップ特例は、確定申告をしなくても控除が受けられる仕組みです。ですが、対象は「確定申告が不要な給与所得者等」で、寄附先が5自治体以内の場合に限られます。
個人事業主は、そもそも確定申告をする立場です。そのため、ワンストップ特例は使えません。ふるさと納税の控除を受けるには、必ず確定申告で申告します。
03寄附先の数に制限はない
ワンストップが使えないことには、裏返しの利点もあります。
確定申告をする場合、寄附先の自治体数に制限はありません。ワンストップ特例の「5自治体以内」という縛りを気にせず、いくつの自治体にでも寄附できます。
自己負担2,000円は年間の総額に対して1回なので、寄附先を増やしても負担は増えません。
04上限額は所得で決まる
得をする範囲には、上限があります。
控除の上限額は、その人の所得や家族構成で決まります。上限を超えて寄附すると、超えた分は自己負担になります。
個人事業主の場合、その年の所得が確定するまで正確な上限が分かりにくいという難しさがあります。年の後半に、その年の見込み所得をもとに計算するのが現実的です。総務省のポータルサイトにシミュレーションがあります。
05経費ではなく「寄附金控除」
まちがえやすい点です。
ふるさと納税は、事業の必要経費にはできません。事業とは別に、自分の所得から差し引く「寄附金控除」として扱います。
小規模企業共済(小規模企業共済とは|節税と退職金)やiDeCo(iDeCo・国民年金基金で節税する)と同じく、所得控除の枠で節税する制度だと理解しておきましょう。節税全体の考え方は 節税のためにやるべきこと にまとめています。
06確定申告での手続き
最後に、実務です。
確定申告のときに、寄附金控除として申告します。必要なのは、自治体から届く「寄附金受領証明書」です。ポータルサイトが発行する「寄附金控除に関する証明書」でまとめて添付することもできます。
申告書の第二表にある「寄附金控除に関する事項」と、「住民税に関する事項」の都道府県・市区町村への寄附の欄に、忘れず記載します。ここが抜けると住民税から控除されないことがあります。確定申告の流れは 確定申告のやり方|個人事業主の基本 で解説しています。
よくある質問
個人事業主はワンストップ特例を使えますか?
使えません。ワンストップ特例は「確定申告が不要な給与所得者等」が対象です。個人事業主は確定申告をする立場のため対象外で、ふるさと納税の控除は確定申告で受けることになります。
寄附先の自治体数に制限はありますか?
確定申告をする場合は制限がありません。ワンストップ特例の「5自治体以内」という縛りは、確定申告をする個人事業主には関係ありません。いくつの自治体に寄附しても、自己負担は年間で2,000円です。
ふるさと納税は経費になりますか?
なりません。事業の必要経費ではなく、所得から差し引く「寄附金控除」として扱います。小規模企業共済やiDeCoと同じく、所得控除の枠で節税する制度です。
上限額はどうやって調べますか?
所得や家族構成で決まります。総務省のポータルサイトにシミュレーションがあります。個人事業主はその年の所得が確定するまで正確な上限が分かりにくいため、年の後半に見込み所得をもとに計算するのが現実的です。
確定申告に何が必要ですか?
自治体から届く「寄附金受領証明書」が必要です。ポータルサイトが発行する「寄附金控除に関する証明書」でまとめることもできます。申告書に、寄附金控除の欄と住民税に関する事項の欄の両方を記載します。
まとめ
ふるさと納税は、上限内なら実質2,000円の負担で返礼品を受け取れる制度です。ただし個人事業主は、ワンストップ特例が使えず、必ず確定申告で寄附金控除として申告します。
その代わり、寄附先の自治体数に制限はありません。上限額は所得で決まるため、年の後半に見込み所得で計算するのが現実的です。事業の経費ではなく所得控除である点に注意して、賢く活用しましょう。
税務の最終的な判断は、国税庁の公式情報や、税務署・税理士への確認に従ってください。