国民健康保険の仕組み
会社を辞めて個人事業主になると、健康保険が変わります。多くの人が加入するのが国民健康保険(国保)です。
会社の健康保険とは、仕組みがいくつも違います。特に「扶養」の考え方が変わる点は、家族がいる人には大きな影響があります。
この記事では、国民健康保険の仕組みを、会社の健康保険との違い・加入手続き・保険料の考え方の順に整理します。
01国民健康保険とは
まず、位置づけを押さえます。
国民健康保険は、会社の健康保険や共済組合に加入していない人が入る医療保険制度です。運営は市区町村(と都道府県)が行います。
日本は国民皆保険なので、どこかの医療保険に必ず加入します。会社員でなくなれば、国保か、健保の任意継続か、家族の扶養に入るかのいずれかを選ぶことになります。選択の比較は 会社を辞めたあとの健康保険の選び方 で解説しています。
02会社の健康保険との違い
大きな違いは3つあります。
- 保険料の全額が自己負担:会社の健保は会社と折半だが、国保は全額を自分で払う
- 扶養の制度がない:家族も一人ひとりが被保険者になり、その分の保険料がかかる
- 傷病手当金・出産手当金が原則ない:病気やケガで働けない期間の所得補償がない
この3つが、独立後の負担感につながります。特に扶養の違いは見落とされがちです。
03扶養がないとはどういうことか
ここは丁寧に押さえます。
会社の健康保険では、配偶者や子どもを「扶養」に入れれば、その人数分の保険料はかかりませんでした。
国保には、この扶養という考え方がありません。世帯の加入者一人ひとりに保険料(均等割)がかかります。家族4人で国保に入れば、4人分の均等割が加算されます。計算のしかたは 国民健康保険料の計算と節約 で解説しています。
04加入の手続きは14日以内
手続きには期限があります。
会社を退職して国保に加入する場合、退職の翌日から14日以内に、お住まいの市区町村の窓口で届け出ます。
必要なものは、健康保険の資格喪失を証明する書類、本人確認書類、マイナンバーが分かるものなどです。詳細は自治体で異なるため、事前に確認しておくと確実です。
手続きが遅れると、医療給付が手続き完了日からとなり、それまでの医療費が全額自己負担になることがあります。届出は早めに済ませましょう。
05保険料は世帯単位・世帯主が納付
納め方にも特徴があります。
国保の保険料は、世帯ごとに計算され、世帯主が納付義務者になります。世帯主本人が会社の健康保険に入っていても、その世帯に国保の加入者がいれば、納付書は世帯主宛てに届きます。
保険料は前年の所得をもとに計算されるため、独立1年目は会社員時代の給与所得を基準に計算され、高く感じられることがあります。
06令和8年度から保険料は4区分に
制度の最新の変更点です。
これまで国保の保険料は、医療分・後期高齢者支援金分・介護分(40〜64歳)の3区分でした。令和8年度からは、これに「子ども・子育て支援納付金分」が加わり4区分になりました。
なお、18歳到達年度末までの子どもについては、子ども分の均等割が全額軽減される仕組みが設けられています。料率や金額は市区町村ごとに異なるため、正確な金額はお住まいの自治体で確認してください。国民年金の仕組みは 国民年金の手続きと免除制度 で解説しています。
よくある質問
国民健康保険と会社の健康保険はどう違いますか?
保険料が全額自己負担になる点、扶養の制度がない点、傷病手当金や出産手当金が原則ない点が主な違いです。会社の健保は保険料を会社と折半しますが、国保は全額を自分で負担します。
国保に家族を扶養として入れられますか?
できません。国保には扶養の制度がなく、家族も一人ひとりが被保険者になります。加入者の人数分だけ均等割の保険料が加算されるため、家族が多いほど保険料は高くなります。
加入の手続きはいつまでにしますか?
退職の翌日から14日以内に、お住まいの市区町村の窓口で届け出ます。手続きが遅れると、医療給付が手続き完了日からとなり、それまでの医療費が全額自己負担になることがあります。
保険料は誰が払いますか?
世帯ごとに計算され、世帯主が納付義務者になります。世帯主自身が会社の健康保険に加入していても、世帯に国保の加入者がいれば、納付書は世帯主宛てに届きます。
病気で働けないときの補償はありますか?
国保には、原則として傷病手当金や出産手当金がありません。会社員時代にあった所得補償がなくなるため、民間の保険や貯蓄など、自分で備えを考える必要があります。
まとめ
国民健康保険は、会社の健康保険に加入していない人が入る医療保険です。会社の健保との大きな違いは、保険料が全額自己負担であること、扶養の制度がないこと、傷病手当金が原則ないことの3点です。
退職後は14日以内に市区町村で手続きします。保険料は世帯ごとに計算され、世帯主が納付義務者になります。令和8年度からは保険料の区分が4つになりました。料率は自治体ごとに異なるため、正確な金額はお住まいの市区町村で確認しましょう。
保険料の金額や手続きの詳細は、お住まいの市区町村の公式情報でご確認ください。