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副業から個人事業主になるには|判断の目安と手続きの順番

公開 2026.06.28更新 2026.06.28

副業を続けていると、あるとき「これ、ちゃんと個人事業主になったほうがいいのかな」と考える瞬間が来ます。

毎月そこそこの収入が入るようになった。クライアントが増えてきた。確定申告が気になり始めた。きっかけは人それぞれです。

ただ、「個人事業主になる」と言っても、会社を作るような大きな手続きではありません。やることは、税務署に書類を出すだけです。むしろ難しいのは、手続きより「いつ・どう判断するか」のほうです。

この記事では、副業から個人事業主になる目安、手続きの順番、会社にバレないための注意点まで、順番に進めます。

01副業と個人事業主の違いを知る

まず、言葉の関係を整理します。

「副業」は、働き方の呼び方です。本業のかたわらで収入を得ている状態を指す、ふだんの言葉です。

「個人事業主」は、税務上の区分です。個人として継続的に事業をしている人を指します。開業届を税務署に出すと、税務上は個人事業主として扱われます。

つまり、この2つは反対の言葉ではありません。会社員のまま副業をしていても、開業届を出せば「副業をしている個人事業主」になれます。 会社を辞める必要はありません。

逆に、開業届を出していなくても、継続的に収入があれば確定申告は必要になります。「個人事業主になっていないから申告しなくていい」わけではない、という点だけ先に覚えておいてください。

02個人事業主になるか判断する

次に、自分が「なるべきか」を考えます。

絶対の正解はありませんが、次のどれかに当てはまるなら、前向きに考える価値があります。

  • 副業を一時的なものではなく、続けていくつもりがある
  • 年間の利益(売上から経費を引いた額)が増えてきた
  • 青色申告の特別控除を使って、税金を抑えたい
  • 屋号を使って、事業として活動したい
  • 経費をきちんと計上して、お金の管理を整えたい

一方で、「数回だけの単発収入で、今後も続ける予定はない」という段階なら、急いで開業届を出す必要はありません。

判断に迷ったら、「青色申告を使いたいかどうか」をひとつの基準にすると考えやすいです。青色申告には最大65万円の特別控除があり、これを使うには開業届とセットの手続きが必要になります。メリットの詳しい中身は 個人事業主になるメリット・デメリット で整理しています。

03開業届を出す

なると決めたら、最初の手続きが開業届です。

正式名称は「個人事業の開業・廃業等届出書」。個人で事業を始めたことを税務署に知らせる書類です。提出に費用はかかりません。

書き方や提出方法は 開業届の出し方|書き方と提出方法 で1ステップずつ解説しているので、そちらに沿って進めれば迷いません。

提出のタイミングについては、法律上は事業を始めてから1か月以内が目安ですが、遅れても受理されます。ただし、次のSTEPで触れる青色申告の締切のほうが先に来るので、出すと決めたら早めに動くのがおすすめです。

04青色申告承認申請書を一緒に出す

開業届と一緒に出しておきたいのが、青色申告承認申請書です。

開業届を出しただけでは、自動的に青色申告にはなりません。青色申告を使うには、この申請書を別に提出する必要があります。

そして、こちらには明確な期限があります。原則として、開業から2か月以内、またはその年の3月15日のいずれか早いほうです。ここを過ぎると、その年は青色申告が使えず、自動的に白色申告になります。

だから、多くの人は開業のタイミングで2枚をまとめて提出します。出し方は 青色申告承認申請書の出し方 で解説しています。

05確定申告の準備を始める

個人事業主になったら、年に一度の確定申告が前提になります。

身構える必要はありません。ふだんから売上と経費を記録しておけば、申告時にあわてずに済みます。

準備として、次の2つを始めておくと楽です。

  • 事業用の収入と支出を、プライベートと分けて記録する
  • 会計ソフトを使って、日々の取引を入力しておく

青色申告で65万円控除を狙う場合は、複式簿記での記帳と、e-Taxまたは電子帳簿保存が条件になります。会計ソフトを使えば、簿記の知識がなくても複式簿記の形に整えてくれます。

確定申告全体の流れは 確定申告のやり方|個人事業主の基本 で扱います。

06会社にバレない対策を確認する

会社員として副業をしている場合、気になるのが「会社に知られないか」です。

副業が会社に伝わる主な経路は、住民税です。副業分の所得が増えると住民税が上がり、それが給与から天引き(特別徴収)されることで、経理が気づくことがあります。

対策として、確定申告のときに住民税の納付方法を「自分で納付(普通徴収)」に切り替える方法があります。これで副業分の住民税は自宅に納付書が届き、給与天引きとは別に納められます。

ただし、自治体によって取り扱いが異なる場合があり、確実に分離できるとは限りません。また、そもそも会社の就業規則で副業が禁止・制限されていないかは、先に確認しておくべきです。

具体的な手順と注意点は 副業を会社にバレないようにする方法 でまとめています。

07屋号と事業用口座を整える

最後に、活動の土台を整えます。

必須ではありませんが、屋号(事業用の名前)を決めておくと、請求書や名刺に使えて、事業としての見え方が整います。開業届にも屋号を書く欄があります。

屋号での銀行口座を作っておくと、事業のお金とプライベートのお金が分かれ、確定申告のときの集計がぐっと楽になります。

屋号の決め方や注意点は 屋号の決め方|つけるメリットと注意点 で解説しています。ここまで整えば、副業から個人事業主への移行はひと通り完了です。

よくある質問

副業でも開業届は必要ですか?

継続して事業として収入を得るなら、出しておくのが基本です。出さなくても罰則はありませんが、青色申告を使うには開業届と青色申告承認申請書がセットで必要になります。一度きりの単発収入なら、急ぐ必要はありません。

赤字でも個人事業主になる意味はありますか?

あります。青色申告をしていれば、赤字(純損失)を翌年以降3年間にわたって繰り越し、将来の黒字と相殺できます。立ち上げ期に赤字が出やすい人ほど、早めに青色申告にしておく価値があります。

いくら稼いだら個人事業主になるべきですか?

金額だけで決まる線引きはありません。よく言われる「副業の所得20万円」は確定申告が必要かどうかの目安であって、個人事業主になる基準ではありません。判断軸は金額より「続けるつもりがあるか」「青色申告で節税したいか」です。

会社員のまま個人事業主になれますか?

なれます。会社を辞める必要はありません。開業届を出せば、会社員と個人事業主を兼ねた状態になります。ただし、勤務先の就業規則で副業が制限されていないかは事前に確認してください。

まとめ

副業から個人事業主になるのは、税務署に開業届を出すだけのシンプルな手続きです。難しいのは手続きより、「続けるつもりがあるか」「青色申告で節税したいか」という判断のほうです。

なると決めたら、開業届と青色申告承認申請書をセットで、開業から2か月以内に出すのが基本です。会社員のままでも問題ありません。あとは確定申告の準備と、会社にバレないための住民税の対策を押さえれば、移行はひと通り完了します。

そして、個人事業主になった先にあるのは「自分で仕事を受ける」段階です。クラウドソーシングに頼り切らず、会社から直接相談される状態を作れると、手数料に削られない働き方に近づきます。書類を整えるところから、その一歩は始まっています。

出典