帳簿のつけ方|複式簿記の基本
帳簿づけと聞くと、簿記の知識が必要そうで身構えます。
ですが、いまは会計ソフトが大部分を自動でやってくれます。仕組みさえ分かっていれば、専門知識がなくても帳簿はつけられます。
この記事では、帳簿のつけ方を、単式簿記と複式簿記の違い・借方と貸方の考え方・帳簿の種類・保存期間の順に整理します。
01なぜ帳簿づけが必要か
まず、帳簿をつける理由を押さえます。
帳簿は、1年間の売上と経費を記録したものです。これがあるから、所得(儲け)を正しく計算でき、確定申告ができます。
そして、青色申告も白色申告も、帳簿づけは義務です。2014年からは白色申告でも記帳が必要になりました。さらに、最大65万円の青色申告特別控除を受けるには、しっかりした帳簿(複式簿記)が前提になります。
02単式簿記と複式簿記の違い
帳簿のつけ方には、大きく2種類あります。
- 単式簿記(簡易簿記):お小遣い帳のように、収入と支出を1行で記録する。シンプルだが、青色申告特別控除は最高10万円まで
- 複式簿記:1つの取引を2つの面から記録する。手間はかかるが、最高65万円・55万円の控除を狙える
控除額の差が、そのまま簿記方式の差になります。最大65万円控除を目指すなら、複式簿記が必要です。
03複式簿記の考え方(借方と貸方)
複式簿記の核心は、1つの取引を「借方」と「貸方」の2面で書くことです。
たとえば「商品が売れて、現金1万円を受け取った」場合は、こう記録します。
- 借方:現金 10,000円(資産が増えた)
- 貸方:売上 10,000円(売上が立った)
「お金がどうなったか」と「その理由は何か」を、左右にセットで書く。これが複式簿記です。この積み重ねから、貸借対照表と損益計算書という2つの決算書が自動的に作られます。65万円控除には、この決算書の添付が必要です。
04帳簿の種類
複式簿記では、いくつかの帳簿を使います。
- 仕訳帳:すべての取引を、日付順に借方・貸方で記録する
- 総勘定元帳:勘定科目(現金・売上・消耗品費など)ごとに取引をまとめる
- 補助簿:現金出納帳・売掛帳・経費帳など、必要に応じて使う
名前は難しそうですが、会計ソフトに入力すれば、これらは自動で作られます。自分で1冊ずつ手書きする必要はありません。
05会計ソフトで自動化する
実務では、帳簿づけのほとんどを会計ソフトに任せます。
- 銀行口座やクレジットカードを連携すると、取引が自動で取り込まれる
- 勘定科目もソフトが予測して入力してくれる
- 仕訳帳・総勘定元帳・決算書まで自動で作られる
国税庁も、複式簿記による記帳は市販の会計ソフトを使えば簡単にできる、と案内しています。簿記が苦手でも、複式簿記をあきらめる必要はありません。ソフトの選び方は 会計ソフトの選び方 で解説しています。
06帳簿・書類の保存期間
作った帳簿や書類は、一定期間の保存が義務です。確定申告では提出せず、手元で保管します。
- 青色申告:帳簿・決算関係書類・現金預金取引等関係書類は原則7年(前々年分の所得が300万円以下なら現金預金取引等関係書類は5年)、請求書など「その他の書類」は5年
- 白色申告:収入金額・必要経費を記載した法定帳簿は7年、任意帳簿やその他の書類は5年
迷ったら「7年」を基準にしておくと安全です。領収書の保管のコツは レシート・領収書の保管と管理 で整理しています。
07まずは日々つけることから
最後に、続けるコツです。
帳簿づけで一番大変なのは、ためてしまうことです。1年分を申告期間にまとめて入力するのは大きな負担になります。
事業用の口座とカードを分け、取引が発生したらこまめに記帳する。月に一度、内容を確認する。この習慣があれば、確定申告は驚くほど楽になります。青色申告の準備は 青色申告承認申請書の出し方 で解説しています。
よくある質問
簿記の知識がなくても帳簿はつけられますか?
つけられます。会計ソフトが複式簿記の入力を補助し、口座連携で取引も自動で取り込まれます。仕訳帳や総勘定元帳、決算書もソフトが自動で作るため、専門知識がなくても進められます。
単式簿記と複式簿記、どちらにすべきですか?
最大65万円・55万円の控除を狙うなら複式簿記が必要です。会計ソフトを使えば複式簿記でも負担は大きく変わらないため、迷ったら複式簿記がおすすめです。単式簿記では控除は最高10万円までです。
借方・貸方が分かりません。覚える必要はありますか?
仕組みは知っておくと役立ちますが、暗記は不要です。会計ソフトが勘定科目を予測し、借方・貸方の振り分けを補助してくれます。
帳簿は確定申告のときに提出しますか?
提出しません。帳簿や領収書などは手元で保管し、税務調査があったときに示せるようにしておきます。保存期間は青色なら原則7年、白色なら帳簿7年・書類5年が目安です。
帳簿はいつからつければいいですか?
事業を始めたら、その時点からつけ始めます。青色申告を選ぶなら、青色申告承認申請書を出した年の取引を記帳していく必要があります。ためずに、こまめに記帳するのがコツです。
まとめ
帳簿づけは、所得を正しく計算し確定申告をするための土台です。青色も白色も記帳は義務で、最大65万円控除には複式簿記が必要になります。
複式簿記は「借方・貸方の2面で書く」のが基本ですが、会計ソフトを使えば入力は補助され、口座連携で取引も自動で入ります。簿記が苦手でも複式簿記はあきらめなくて大丈夫です。作った帳簿は青色なら原則7年保存し、ためずにこまめにつけることが、確定申告を楽にする一番のコツです。
税務の最終的な判断は、国税庁の公式情報や、税務署・税理士への確認に従ってください。