副業と扶養の関係
配偶者の扶養に入りながら副業をしている。あるいは、扶養に入っている家族が副業を始めた。このとき気になるのが「いくらまでなら扶養のままでいられるか」です。
ここで混乱しやすいのが、扶養には税金の扶養と社会保険の扶養の2種類があり、基準が違うという点です。
この記事では、副業と扶養の関係を、2つの扶養の違いから整理します。
01扶養には2種類ある
まず、いちばん大事な整理です。
- 税金の扶養:配偶者控除・扶養控除の対象になるかどうか。所得税・住民税に関わる
- 社会保険の扶養:健康保険の被扶養者になれるかどうか。保険料の負担に関わる
この2つは、判定の基準も、外れたときの影響もまったく別です。「103万円」「130万円」といった数字が混ざって語られるのは、この2つが区別されていないためです。
02税金の扶養
まず、税金のほうです。
配偶者控除や扶養控除は、扶養される側の年間の合計所得金額で判定されます。給与だけなら「収入」から給与所得控除を引いた額、副業が事業所得や雑所得なら「収入 − 必要経費」の額です。
つまり、副業で経費がかかっていれば、その分は差し引いて判定されます。控除の要件や金額は改正されることがあるため、最新の基準は国税庁で確認してください。
03社会保険の扶養(130万円の壁)
次に、負担の大きさで影響が出るほうです。
健康保険の被扶養者でいられる目安は、年間収入130万円未満(60歳以上または障害者は180万円未満)です。この基準を超えると扶養から外れ、自分で健康保険と年金に加入することになります。
注意したいのは、社会保険では将来に向けた見込みで判定される点です。税金のように1月から12月の実績で見るのではなく、「今後1年間の収入見込み」で判断されます。月々の収入が基準額を継続的に超えると、その時点で外れることがあります。
04経費は引けるのか
副業が事業所得の場合、いちばん迷うところです。
税金の扶養では、必要経費を引いた「所得」で判定されます。一方、社会保険の扶養では、経費の扱いが健康保険によって異なります。
- 収入から必要経費を引いた額で判定するところ
- 売上原価など一部の経費しか認めないところ
- 収入そのもので判定するところ
加入している健康保険(協会けんぽか、健康保険組合か)で基準が違うため、必ず加入先に確認します。ここを自己判断すると、後から扶養を遡って外されることがあります。
05扶養から外れるとどうなるか
外れたときの影響です。
社会保険の扶養から外れると、自分で国民健康保険と国民年金に加入し、保険料を負担することになります。国民年金は令和8年度で月額17,920円、国民健康保険は前年の所得に応じてかかります。
年間で数十万円の負担増になることもあり、「130万円の壁」と呼ばれるのはこのためです。収入が壁を少し超えただけだと、手取りが減る場合があります。国保の負担は 国民健康保険料の計算と節約、年金は 国民年金の手続きと免除制度 で解説しています。
06副業の確定申告との関係
最後に、税務の手続きです。
扶養に入っているかどうかと、確定申告が必要かどうかは別の話です。副業の所得が20万円を超えれば、扶養に入っていても確定申告が必要になります。判定の詳細は 副業の確定申告はいくらから必要? で解説しています。
また、扶養に入りながら事業として副業を続けるなら、開業届や青色申告の検討も出てきます。
よくある質問
扶養の103万円と130万円はどう違いますか?
103万円などの基準は税金の扶養(配偶者控除・扶養控除)に関わる話で、130万円は社会保険の扶養(健康保険の被扶養者)の目安です。判定の基準も、外れたときの影響も別の制度です。
副業の経費は扶養の判定で引けますか?
税金の扶養では、必要経費を引いた所得で判定されます。社会保険の扶養では、経費の扱いが健康保険ごとに異なります。加入先の基準を必ず確認しましょう。
社会保険の扶養はいつの収入で判定しますか?
将来に向けた見込みで判定されます。税金のように1月から12月の実績で見るのではなく、今後1年間の収入見込みで判断されるため、月々の収入が基準を継続的に超えると、その時点で外れることがあります。
扶養から外れるとどうなりますか?
自分で国民健康保険と国民年金に加入し、保険料を負担します。国民年金は令和8年度で月額17,920円、国民健康保険は前年所得に応じてかかります。年間で数十万円の負担増になることもあります。
扶養に入っていても確定申告は必要ですか?
扶養かどうかと確定申告の要否は別です。副業の所得が20万円を超えれば、扶養に入っていても確定申告が必要になります。また、20万円以下でも住民税の申告が必要な場合があります。
まとめ
扶養には税金の扶養と社会保険の扶養があり、基準も影響も別物です。税金は合計所得金額で判定し、必要経費を引けます。社会保険は年間収入130万円未満が目安で、将来の見込みで判定されます。
特に注意したいのが、社会保険では経費の扱いが健康保険ごとに違う点です。自己判断せず、加入先に確認しましょう。扶養から外れると国保と国民年金の負担が生じるため、収入の増え方によっては手取りが減ることもあります。
制度の詳細や判定の基準は、加入している健康保険や公的機関の情報でご確認ください。