消費税の確定申告と申告義務
課税事業者になると、所得税とは別に、消費税の確定申告が必要になります。インボイス登録をした人は、ここが新しく加わる作業です。
計算方法にはいくつかあり、選び方で納税額が変わります。
この記事では、消費税の確定申告を、申告の時期・計算方法・中間申告の順に整理します。免税・課税の判定は 免税事業者と課税事業者の違い で解説しています。
01所得税とは別に申告が必要
まず、基本を押さえます。
課税事業者は、消費税の確定申告を、所得税の確定申告とは別に行います。1年間(1月〜12月)に受け取った消費税と支払った消費税を集計し、その差額を納めます。
- 所得税の申告期限:原則3月15日
- 消費税の申告期限:原則3月31日
期限が違う点に注意が必要です。片方だけ済ませて、もう片方を忘れないようにしましょう。期限の全体像は 確定申告の期限と遅れたときの対処 で解説しています。
023つの計算方法
消費税の納税額の計算には、主に3つの方法があります。
- 原則課税(一般課税):受け取った消費税 − 支払った消費税
- 簡易課税:売上税額 × みなし仕入率(業種で40〜90%)
- 2割特例・3割特例:売上税額の2割・3割(2割特例とは|インボイスの負担軽減)
どれを使えるか、どれが有利かは、事業の状況で変わります。
03原則課税
まず、基本となる方法です。
原則課税は、受け取った消費税から、仕入れや経費で支払った消費税を差し引いて納税額を計算します。実際の取引をもとにするため正確ですが、支払った消費税をすべて集計する手間がかかります。
高額な設備投資をした年など、支払った消費税が多い場合は、還付を受けられることもあります。
04簡易課税
事務負担を軽くする方法です。
簡易課税は、支払った消費税を集計せず、売上税額に「みなし仕入率」を掛けて納税額を計算します。みなし仕入率は業種ごとに決まっています。
- 卸売業:90%/小売業:80%/製造業など:70%
- その他(飲食店業など):60%/サービス業など:50%/不動産業:40%
基準期間の課税売上高が5,000万円以下の事業者が選べます。ただし、事前に「簡易課税制度選択届出書」の提出が必要です。詳しくは 簡易課税制度とは で解説しています。
05計算方法の選び方
どれを選ぶかで、納税額が変わります。
- 仕入れ・経費が少ない(サービス業など)→ 2割特例・3割特例や簡易課税が有利になりやすい
- 仕入れが多い、設備投資をした→ 原則課税が有利(還付になることも)
- 売上5,000万円超→ 簡易課税は使えず、原則課税
特例が使えるうちは特例が簡単で有利なことが多いですが、業種や年によって変わります。迷ったら複数の方法で試算します。
06中間申告と納付
最後に、中間申告です。
前年の消費税額(国税分)が48万円を超えると、翌年は中間申告が必要になります。年の途中で、前年実績などをもとに一部を前払いする仕組みです。金額に応じて、年1回・3回・11回と回数が変わります。
納付方法は、口座振替(振替納税)、e-Tax、クレジットカード、コンビニなどが使えます。消費税の負担軽減は 2割特例とは|インボイスの負担軽減 で解説しています。
よくある質問
消費税の申告は所得税と一緒にできますか?
別々に行います。所得税の確定申告とは別に、消費税の確定申告が必要です。申告期限も異なり、所得税は原則3月15日、消費税は原則3月31日です。両方を忘れないようにしましょう。
消費税の計算方法はどれを選べばいいですか?
原則課税・簡易課税・2割特例(3割特例)の3つがあります。仕入れや経費が少ない業種は特例や簡易課税が有利になりやすく、設備投資が多い年は原則課税で還付になることもあります。複数の方法で試算するのが確実です。
簡易課税は誰でも使えますか?
基準期間の課税売上高が5,000万円以下の事業者が使えます。ただし、事前に「簡易課税制度選択届出書」を提出しておく必要があります。売上が5,000万円を超える場合は使えません。
中間申告とは何ですか?
前年の消費税額(国税分)が48万円を超えると、翌年に必要になる前払いの申告です。年の途中で消費税の一部を納めます。金額に応じて年1回・3回・11回と回数が変わります。
消費税はどうやって納めますか?
口座振替(振替納税)、e-Tax、クレジットカード、コンビニ、金融機関の窓口などで納められます。所得税と同じ方法が使えます。振替納税にすると納め忘れを防げます。
まとめ
課税事業者は、所得税とは別に、原則3月31日までに消費税の確定申告をします。計算方法は原則課税・簡易課税・2割(3割)特例の3つで、選び方によって納税額が変わります。
仕入れや経費が少ない業種は特例や簡易課税が有利になりやすく、設備投資が多い年は原則課税で還付になることもあります。前年の消費税額が48万円を超えると中間申告も必要です。自分の事業に合った方法を選び、期限を守って申告しましょう。
税務の最終的な判断は、国税庁の公式情報や、税務署・税理士への確認に従ってください。